大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)938 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人本田源次郎の上告趣意は末尾添附の各書面記載のとおりであつてこれに対

する当裁判所の判断は次のとおりである。

昭和二五年三月二一日附上告趣意(以下甲と略称する)並に同年六月八日附上告

趣意(以下乙と略称する)各第一点について。

所論はいずれも事実誤認の主張であつて適法な上告理由とならない。

甲、乙第二点について。

所論は被告人の本件行為が窃盗罪を構成せず適法行為であることを前提として憲

法三九条違反を主張するものであつて、憲法違反に名を藉り結局事実誤認の主張を

なすものに過ぎず適法な上告理由とならない。

乙第三点について。

憲法三七条一項の公平な裁判所の裁判というのは構成その他において偏頗の惧れ

のない裁判所の裁判をいうのであつて個々の事件において裁判所がその自由裁量に

従い被告人に不利益な証拠を採用し利益な証拠を採用せず或いは又不利益な事実を

認定したからといつてそれが右憲法の条項に違反しないことは当裁判所の判例とす

るところである。されば論旨の理由のないこと明らかである。

甲第三点、乙第四点について。

所論はいずれも訴訟法違背の主張であつて適法な上告理由とならない。

乙第五点について。

原判決は第一審の訴訟手続に所論の違法はあるが被告人及び弁護人も所論の証拠

決定に異議を述べた形跡なく又その証人訊問についても被告人及び弁護人から何等

異議申立なく証拠調を終了したものであるから右訴訟手続の違背は原判決に影響を

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及ぼすこと明らかであるとはいえないと判断しているのであつて所論のように時間

的余裕がなかつたという一言の理由によりこの点の控訴趣意を排斥したものでない

こと原判決に徴し明らかである。所論は原判決の誤解に基くものであるばかりでな

く、名を違憲に藉り訴訟法違背の主張をするものに過ぎず適法な上告理由とならな

い。

なお記録を精査しても刑訴四一一条に該当する事由は認められない。

よつて、刑訴四〇八条により全裁判官一致の意見により主文のとおり判決する。

昭和二六年五月一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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